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【2015.03.22】“オリオスペック Presents 80年代女性アイドル歌謡祭” を振り返って2020.11.28過去開催イベントアーカイブ

【2015.03.22】“オリオスペック Presents 80年代女性アイドル歌謡祭” を振り返って

「歌は世につれ世は歌につれ」
歌は時代を現し、時代の世俗も同じく歌に影響されると言われます。

ただの大酒飲みオッサンに成り果てたS壱号・S弐号が、ともに小僧だった1980年代。
テレビでは週にいくつもの歌番組が放送されていました。
生バンドをバックにした数々の歌い手さんの声を耳にしていたのであります。

“オリオスペック Presents 80年代女性アイドル歌謡祭”と銘打ったイベントでございますが、多くのオッサン世代の皆さんにご参加いただきまして、過去一番か?二番か?というほどの盛り上がり。
終了後にもメールにて、「楽しかった!」「またやってくれ!」「第2回早よやれ!」のご意見ご感想を頂戴しておりまして、S壱号・S弐号共、「ノリと勢いだっだけどやってよかった」、涙と酔いでモニターが霞むのでございます。

イベントにご参加頂き、思いっ切り盛り上げてくださいましたすべての皆さまへ、ここに改めて御礼申し上げます。

さて、御礼方々 “80年代女性アイドル歌謡祭”のまとめを綴ってみようと思うのです。

アイドル歌謡の魅力とは実のところ幅が広く、しかも奥行きすら深い世界である事に気づきます。
アイドル自身の歌声やビジュアルを初めとして、そのバイオグラフィー。
裏方となる作曲家、作詞家、編曲家、プロデューサー、エンジニアの制作者サイドからの視点。
バックを強力にサポートするスタジオミュージシャンというプレーヤー視点。
これらのどれを切り口にしようとも、同じ楽曲の魅力を別々な角度で語りつくすことが出来るのです。

そんな魅力に気が付き、そして魅了された皆さまをして、それは「アイドル好き」ではなく「アイドル愛」な領域へと昇華されているもの。そう確信する次第。

単に80年代女性アイドルの楽曲をプレイバックして終わり、ではなく、そこに内在する魅力をどの様にして伝える事が出来るのだろう?“80年代女性アイドル歌謡祭”を開催するにあたり、「愛」に応えることのできるイベントにしたいと願い、実は真剣な想いを持って臨む事にしました。

そこで、アドバイザーとしてお迎えしたのが以下のお二人。
おひとりは、お馴染みe-onkyoの黒澤さん。ハイレゾ周辺事情についてのバックアップです。
お二人目は、80年代女性アイドルにあふれる愛と広く深い知見をお持ちの井上さん(一般人・しかも女性)アイドル愛!な皆さまに十分ご納得頂けるような楽曲選定、そして80年代アイドルの知識的サポートをお願いしました。お茶の間アイドルマニアックスな井上さん、今回のイベント企画のキーパーソンでございます。

パワフルなブレーンと共に選んだ楽曲の一例をご紹介したいと思います。

松田聖子さんは以下の2曲を選曲しました。
聖子ちゃんのキャリアの中でリリース時期の異なるこの2曲において、歌い方の変遷に気づいて頂きたかったのです。
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1.裸足の季節 (mora 24bit/96kHz ハイレゾ
2.天使のウィンク (mora 24bit/96kHz ハイレゾ
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< 裸足の季節 from SQUALL / 天使のウィンク from The 9th Wave ~ SEIKO MATSUDA>

聖子ちゃんのデビュー曲、裸足の季節。その魅力は、力強く突き抜ける歌声。
ピーカンの空の下をどこまでも疾走していけるような感覚。
それが11枚目のオリジナルアルバム、時期でいうと最初の結婚を迎える直前には
その歌唱に大きな変化が見られるのだ、ブレーンの井上さんは指摘します。
初期の聖子ちゃんの歌い方が「押す」魅力であるとすれば、
この時期の聖子ちゃんは、加えて「引く」魅力をも併せ持つのです。
スターダムへの階段を確実に昇り、積みゆくキャリア。もちろんその過程にはアクシデントもあったと言います。
時の流れと連動するように、そんなテクニックをも身につけるに至ったのでありましょう。
培ったテクニックのすべて、アイドルとして女性として微妙な時期の聖子ちゃんが、尾崎亜美・大村雅郎が手掛けた天使のウィンクの中で惜しむことなく発揮している事実に気づくはず。代名詞 「キャンディボイス」 ~ ここまでに至るキャリアでの集大成の観。

荻野目洋子さんは以下の2曲を選曲しました。
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1.ダンシング・ヒーロー (e-onkyo 24bit/96kHz ハイレゾ
2.六本木純情派 (e-onkyo 24bit/96kHz ハイレゾ
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< from GOLDEN ☆ BEST ~ YOKO OGINOME>

“女優・荻野目慶子さんの妹” その強烈なイメージに纏われる妹・洋子ちゃん。
ヒットに恵まれない不遇な状況。歌手というよりみゆきの声優。
そんな中、“ダンシング・ヒーロー” は世に出ます。
ユーロビート調なサウンドチューンとキレッキレのキュートな振付。
以降の “アイドル・荻野目洋子” のイメージを形成したと言ってもいいのかもしれません。
これがバカ売れする事となり、売れっ子アイドルとして広く認知されるに至ると、
やがて彼女の歌唱には自信がみなぎるようになります。その体現が、六本木純情派。
ダンシング・ヒーローには無かった “何か” がそこには見えるのです。
“妹・洋子ちゃん”から“荻野目ちゃん” へ。
世間のイメージも 「荻野目といえば “洋子” 」 になったと形容出来るのでしょう。

80年代当時は歌謡曲を売れてる順に順位付けする番組が毎週いくつもありました。
それはいつも本番で、同門対決ではなく他流試合。
しかも、アイドルからニューミュージック、演歌に至る歌謡曲全般が対象の異種格闘技戦でもありました。その中で実績を上げる事、そして上げ続ける事をして、これほどまでに変化や自信をもたらしていた結果に改めて気が付き、驚きを覚えます。そして華やかな光の向こう側にある裏、というか当時の歌謡曲を取り巻く環境の過酷さに思いを馳せるのです。

最近続々とリリースされるハイレゾ版80年代アイドル歌謡曲ですが、
このハイレゾ版とCD盤の一対一比較は、歌姫・中森明菜さんで行いました。
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1.スローモーション
2.北ウィング
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< from Best Collection LOVE SONGS & POP SONGS ~ AKINA NAKAMORI >
< e-onkyo 24bit/96kHz ハイレゾ vs 同タイトルCDアルバム(CD/SACDハイブリッド) >

これはなかなか面白い比較対決でした。
実は、このハイブリッド盤のCDLayerのサウンドって抜群にイイのです。本番でも正直に褒めてしまった位のレベル。しかしながら、やはりハイレゾはハイレゾの特徴が存在しておりました。
例えば、明菜ちゃんのバックでスタジオミュージシャンが演奏している楽器の明瞭さ。
バックの音数が沢山聴こえるので、パーカッションなどCDの時に気が付かなかった楽器の存在に気が付きます。ボンゴと思われるそれ、おそらくは80年代にレコーディングに携わった関係者の方は当たり前に知っていたのでしょう。
でも30年もこの曲を聴いている私には、この瞬間に至るまで気づいていなかった楽器があったというわけです。長年聴いてる楽曲から新たな発見をする場合がある。そんな嬉しい発見からまた少しアーチストに近づけた気がします。「明菜が唄う北ウィングのロングトーンもいいけど、バックミュージシャンもホント上手いなあ・・・」やがて、そんな感嘆の声が漏れてくるのではないか?と。
きっとすぐライナーを開いて、そこには誰がバックとして参加しているのか確認したくなる事、請け合い。

ほかにも指摘出来る事は、スピーカーが作り出しているサウンドステージの大きさ。
明菜ちゃんが唄う世界、縦方向にも横方向にもCD盤よりスケールが拡がって目の前に現れます。

この2点の差。CD盤音源との相違である事に、恐らくご参加の皆さまはお気づきになったと思うのです。

後半戦は、お客様と我々オリオスペックS壱号・S弐号による「ハイレゾデータアーカイブス from アナログレコード&アナログカセットテープ」 の共演となりました。

お前らも仕込んでたのか?アンタらPCオーディオ屋だろ?って?
ええ。ワタシたち、プライベートではアナログレコードも聴いてるんですよ。PCM-D100もあるし(笑)

80年代アイドル歌謡のハイレゾ楽曲は、ワクワクするようなタイトルが続々リリースされております。がしかし、黄金期である時代背景を考慮した上で相対的に見てみれば、数はまだまだ・・・といったところ。アイドル愛な皆さまは、間違いなくそう思われるのではないか?と。

ならば、オレたちで作っちゃえばいいじゃん!
アナログレコードマスターからリニアPCM/DSDレコーダーを使って、本気のハイレゾレコーディングしちゃえばいい。DIY精神あふれるその想い。80年代の少年少女がアナログレコードからカセットテープに録音していた気持ちと同じ。みんな全身全霊でやってたはず。だって音楽は、生きていくため空気の次に大切なものだったからね。

当日、次から次へと音源が出てくるわ出てくるわ(笑)
「このメモリの中にありますよ。アナログレコード、24bit96kHzにしてます」
ハイレゾ化されていない河合奈保子さんのエスカレーションや岡田有希子さんのくちびるネットワークの突然の登場には、会場がどよめきました。華やかってこういう事よね!

< 歌、ホントに上手いですね >

例えばそのお客様のアーカイブ、カートリッジはSHURE V15Type5。
Victor TT71 DDフォノモーターで皿を回して、SAECのアームからONKYO P309のフォノイコを通しTASCAM DA3000へ。「レベル合わせは燃えます」と仰る。ええ、ワカリマスとも! 手抜かりなし、ガチじゃん!(笑)

ハイレゾ・アーカイブなのに、テイストはやっぱりあの頃のサウンドなんですよねー。
“マスターはリアルタイムなアナログレコードにあり”
しかも、ホントにお上手に録音されてらしてクオリティが素晴らしい。
「なんてったってアナログ!なんてったってハイレゾ!」

アマチュアだってここまで出来るんです。
今は安価なリニアPCMレコーダーもいっぱいありますしね。
プロフェッショナルな世界で音楽制作に携われる方々には首を垂れてお願いしたい気持ち。
「清く!正しく!美しく!」 そんなハイレゾという大きな器を活かして、
あの時代のアイドルの気が付く事のできなかった魅力、制作者の秘めた意図を伝えてくれるような
プロしか出来ない「本気・ホンモノのお仕事」を期待しております!っと。

前代未聞の長時間延長戦になるし、早々に始まったイベント終了後のスピンオフでも
お客様の中に紛れていたとんでもない御方によるここじゃ書けないような話が飛び出ちゃう始末。
これは主催者も全くの想定外。みんな少年の目。だれも帰らないしw

とにかく盛り上った。濃かった。
書きたいことは山ほどあるのです。でも、とてもとても書ききれない・・・。
みなさんと一緒に楽しんだイベントだからそれがツライ。
触れられなかった皆さん、ホントにごめんなさい。

次回も絶対やりますよ!これはですね、オモシロイ!
だって、主催者も皆さんと一緒に盛り上がりたいんですもの。
皆さん、またいらしてくださいね。

末筆ではございますが、ご来場頂いたお客様、ご協力頂いた各位、“オリオスペック Presents 80年代女性アイドル歌謡祭”に関係されたすべての皆さまに厚く御礼申し上げます。

P.S.
今回は夢中になり過ぎてしまい、イベント中の画像を撮影し忘れてしまいました。
ごめんなさい。

<追記>
当該記事アップ後、ご参加頂いたお客様より以下のWeb記事のご紹介を受けました。皆さまにもご紹介しておきたく。

“小泉今日子ハイレゾ化キーマンに訊く制作裏話と音へのこだわり” ~ Phileweb

このイベントの後、e-onkyoさんから小泉今日子さんのハイレゾ音源がリリースされました。
この件にまつわる制作者サイドの方からのお話なのですが、リアルタイムのレコーディングを知り、そして今回のハイレゾ化にも携わったエンジニアの高田さんの言葉、「今の時代のオリジナルマスターができた」 は、特に興味深いです。これ、“時代時代によってメディア化される音楽の表現は異なっていく” という事でしょう。世俗・ハードウェア・技術・・・恐らくベースとなるそれらのすべては移り変わるものだから。

リアルタイムなアナログレコード時代の表現、CD初期の表現、CD全盛期の表現、そしてハイレゾ時代の表現。80年代女性アイドルの同じ楽曲がどのように変遷しているのかをトレースして楽しんでみるのも、それはそれでとても面白そうだな!と思うのです。

 

 

 

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